熱狂的なファンの多く、誰もがその名をしる「コカ・コーラ」という炭酸飲料。
数年前から「檸檬堂」というチューハイを売り出し、アルコール飲料にもビジネス領域を広げ、さらにファンは増えていることでしょう。
そんなコカ・コーラを販売している上場会社は、日本で2社あります。
コカ・コーラボトラーズジャパン株式会社(証券コード:2579)と北海道コカ・コーラボトリング(証券コード:2573)です。
なお、アメリカで上場しているザ コカ・コーラ カンパニーは日本の企業ではないことに注意してください。
ザ コカ・コーラ カンパニーは、ニューヨーク証券取引所に上場しており、全30社で構成されるダウにも採用されています。
さらに、59年の連続増配年数記録を持つかなりの優良銘柄です。
投資の神様で知られる「ウォーレン・バフェット」も愛してやまないのが「コカ・コーラ」です。
では、そんなザ コカ・コーラ カンパニーの日本法人であるコカ・コーラボトラーズジャパン株式会社(以下:コカ・コーラBJH)はどうなのか?
投資しても安心できるのか?
その判断材料をいくつか挙げてみたいと思います。
直近の業績
2020年12月期の業績は以下の通りです。
なお、会計基準はIFRSで、連結決算です。
売上高は791,956百万円(2019年12月期比−11.0%)
事業利益は169百万円(2019年12月期比−98.5%)
当期純利益は−4,729百万円(2019年12月期当期純利益は−57,895百万円)
資産は939,603百万円(2019年12月期は952,444百万円)
親会社の所有者に帰属する持分は501,643百万円で、持株比率は53.4%(2019年12月期は53.1%)
営業CFは43,716百万円(2019年12月期は42,629百万円)
主な内容として、継続事業からの税引前損失が12,065百万円となり、減価償却費及び償却費、棚卸資産の減少、法人所得税の還付等の一方、その他の資産の増加、営業債務及びその他の債務の減少、 法人所得税の支払等、とのことです。
投資CFは−52,076百万円(2019年12月期は−68,308百万円)
主な内容として、供給体制の復旧と製造能力の段階的な拡張に向けた設備投資の実行等に伴う有形固定資産の取得による支出。
一方、遊休資産や政策保有株式の売却等による、有形固定資産、無形資 産の売却による収入やその他の金融資産の売却による収入等、とのことです。
巨額ののれん
2019年4月、コカ・コーラウエストがコカ・コーライーストジャパンを買収。それによる巨額の「のれん」を計上したことによって2019年3月期決算では営業利益が−55,389百万円、税引後当期純利益は−57,952百万円で大幅赤字となりましまた。
その一方で、2019年第二四半期決算において中期経営計画を発表しました。
どのような内容だったのか、端的にまとめてみました。
「成長軌道への回帰には抜本的な変革が必要」との考えから、5年間を通して
「コスト効率改善と先行投資」
「営業部門の変革を通じた成長」
「売上成長基盤の強化」
を目指すと発表しました。
2020年ー2022年
リセットと変革
・コスト構造と企業文化の変革
・成長に向け顧客志向の投資実行
2023年ー2024年
業界最高水準を目指し、 さらなる成長
・適切な追加投資の実行で成長加速
・イノベーション、オペレーションにおいて業界最高水準
重点分野について
まとめると…
・成長戦略: イノベーション、コアカテゴリー強化
・成長戦略:お得意さま・チャネル別戦略
・成長戦略:ホワイトスペースへの参入 (新カテゴリー)
・成長とコスト削減:ベンディング事業の抜本的な変革 ベンディング事業の安定化と成長に向けリセット
・成長とコスト削減:お得意さまとの戦略的関係強化 手売りチャネルでの成長ポテンシャルをつかみ、販売機会を拡大
・変革とコスト削減を牽引するインフラ整備
オペレーションの効率化・合理化・最適化
・戦略実行の基盤:変革と成長を牽引する基盤 CCBJHの「ハードウェア」と「ソフトウェア」の変革が必要
・廃棄物ゼロ社会に向けて、温室効果ガス削減や再生利用エネルギーを推進するなどESGに意欲的
業績目標・財務戦略
まとめると…
・2024年までに約350億円のコスト削減
・資本構成の効率化とROE改善努力を継続
・2024年 ROE目標5~6%
競合他社について
また、外資系企業であるが故に、他の競合他社(サントリーBFやキリンHDなど)とは違ってできないことがあります。
それが、海外進出による利益の増大が不可能な点です。
コカ・コーラBJHは、ザ コカ・コーラカンパニーの日本法人です。
そのため、日本国内でのみ戦わなければならないのが厳しい点だと考えます。
株主優待の廃止
株主優待も過去に存在していましたが、2019年12月をもって廃止となり、保有し続ける楽しみが1つ失われました。
コカ・コーラBJHの強み
ここからは、コカ・コーラBJHの長所を挙げていきたいと思います。
言わずと知れた知名度の高さと人気
みんなのランキングにて
「炭酸飲料人気ランキング!全商品総合でおすすめの炭酸ジュースは?」
という記事があります。
投票数12,793票があった中で見事、コカ・コーラが1位に選ばれました!
さらに、価格.comの「人気売れ筋」でも、2022年1月21日現在では、見事に1位です。
2020年の東京オリンピックでも、スポンサーを務め、さらに人気も増したことでしょう。
ESGを意識
2021年第二四半期決算では以下を取り組んでいることを公表しています。
・リサイクル
「廃棄物ゼロ社会」の実現に向けて取り組みを加速。 100%リサイクルペットボトルのコカ・コーラを発売。ボトル1本当たりのCO2を60%削減
・フードロスへの取り組み
フードロス対策自動販売機の導入。食品ロス削減へ の消費者の意識向上を図り、SDGsを推進
・多様性の尊重
日本のコカ・コーラシステム全体で 同性パートナーにも対応した福利厚生 および就業規則の整備を完了。当社は 昨年中に導入完了
・新型コロナワクチンの職域接種
新型コロナワクチンの職域接種を、社員とその家族、サプライヤーを対象に実施
・地域社会支援
地域社会との連携を深めるべく、複数の「地域活性化包括連携協定」を締結
ESG投資は世界全体で進めている時流の流れでもあるので、コカ・コーラもその流れに乗って成長することが考えられます。
配当増加の可能性
2019年、代表取締役社長が吉松民雄氏からカリン・ドラガン氏となりました。
これはあくまで私の推測ですが、優待制度を廃止した理由の1つとして、外国人投資家に対してフェアな還元をしようとしているのかと思います。
どういうことかというと、廃止前の優待は、持株数に応じて製品の詰め合わせを貰えていました。
しかし、優待を貰えるのは日本国内に限られるため、外国人投資家は、コカ・コーラBJHの株を持っていても、優待はもらえないのです。
2021年6月18日現在、コカ・コーラBJH株式の外国人保有率は22.5%となっており、およそ4分の1が外国人投資家です。
優待廃止で浮いた分を配当に回してくれる可能性もあり、今後に期待していきましょう。
※なお、2021年8月20日現在、2021年第二四半期決算の状況を見ると営業利益が−18,250百万円なので、当面の増配は厳しいと見ています…
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